beautiful love ★ 俺様boyと天然girl

部活が終わると、みんなそれぞれ着替えを済ませて帰っていった。

俺は久しぶりに、1人で体育館に残る。

最近は部活が終わればそのまま帰ることが多かったけど、今日はなんとなく、まだ帰る気になれなかった。

誰もいなくなったコートに、ボールの音だけが響く。

ボールを受ける相手もいない。

自分でついて。

自分で打って。

落ちてきたボールを、また拾う。

何本かシュートを繰り返していると。

体育館の入り口から声がした。

「……まだやってるの?」

振り返る。

慎が立っていた。

「何?」

「いや、久々だなと思って。自主練」

「……まぁ」

慎はもう着替えも済ませて、鞄を肩にかけている。

帰ったと思ってたのに、体育館の中へ入ってきた。

「何か用?」

「……話がある」

「話?」

「うん」

俺はボールをつきながら、ゴールを見る。

「水乃、待たせてるから手短にして」

「…………」

ボールをついていた手が、一瞬止まった。

「……水乃?」

「うん。今日、一緒に帰るから」

「…………」

「で、何」

そのままシュートを打つ。

ボールはリングに当たって、横へ跳ねた。

「俺さ」

慎がこっちを見る。

「水乃、次の連休がある土日、誘ったから」

「…………」

転がったボールを拾う。

「何に?」

「遊びに」

「…………」

「2人で」

またシュートを打つ。

今度はリングの手前に当たって落ちた。

「まぁ……デートって感じかな」

「…………」

デート。

水乃と。

慎が。

連休に、、

「……ふーん」

ボールを拾う。

「それ、俺に言う必要ある?」

「ないかもしれないけど」

「じゃあ言わなくてよくね?」

「でも、隠して水乃に近づくのも違うかなって思って」

「…………」

また打つ。

外れた。

「別に」

ボールを追いかける。

「俺に許可取る必要ねぇだろ」

「許可取りに来たわけじゃないって」

「じゃあ何」

「言っとこうと思っただけ」

「…………」

もう一度。

シュート。

リングに弾かれる。

「……で?」

「ん?」

「水乃は何て?」

慎が少しだけ笑った。

「まだ返事もらってない」

「…………」

「考えさせてって」

「……そ」

まだ。

返事はしてない。

ボールを拾って、また打つ。

ガンッ、とリングに当たって外れた。

「…………」

「早手」

「何」

「さっきから外しすぎじゃね?」

「……うるせぇ」

ボールを拾う。

もう一度構えて。

打つ。

また外れた。

「いやいや」

慎が呆れたように笑う。

「1年のエースのお前が、どんだけシュート外してんだよ」

「…………」

「今日、調子悪すぎだろ」

「黙ってろ」

「はいはい」

慎は笑ってる。

俺はボールを拾って、またゴールを見る。

「……話、それだけ?」

「うん。とりあえずそれだけ」

「じゃあ早く行けば」

「水乃待ってるし?」

「…………」

慎を見る。

「……早く行けよ」

「怖っ」

「うるせぇ」

慎が笑いながら、体育館の出口へ向かう。

「じゃ、お先」

「…………」

「早手、明日はちゃんと入れろよー」

「さっさと帰れ」

慎の笑い声が遠ざかっていく。

体育館に、また俺1人になる。

「…………」

ボールをつく。

ゴールを見る。

打つ。

また。

外れた。

「……クソ」

転がっていくボールを追いかける。

次の休み。

慎と。

2人で。

デート。

「…………」

まだ返事はしてない。

行くって決まったわけじゃねぇ。

水乃が決めることだ。

そんなの分かってる。

でも。

考える必要あんのかよ。

「…………」

拾ったボールを強く床につく。

文化祭では、ずっと一緒にいて。

キスまでして。

今日も一緒に帰って。

次は休みの日まで。

「……っ」

またシュートを打つ。

リングに当たって、外れる。

「…………」

マジで。

気に食わねぇ。