beautiful love ★ 俺様boyと天然girl

休憩が終わって、また練習が始まった。

体育館の入り口にはまだ木南がいて、時々こっちを見ながら練習を眺めている。

「早手! 次入れ!」

「はい!」

呼ばれてコートに戻る。

練習に集中してる間は、余計なことを考えなくて済む。

それでも休憩になると、無意識に水乃を探していた。

優希と一緒にボトルを集めたり、タオルを渡したり。朝より顔色もいいし、普通に動けてる。

真澄が言ってた通り。

そこまで心配する必要はなさそうだった。

「マネージャー、水!」

「はーい!」

水乃がこっちへ来て、俺にボトルを差し出す。

「はい」

「ん」

受け取った時、一瞬だけ目が合う。

水乃はそのまま次のボトルを持って、慎たちの方へ向かった。

「…………」

俺もボトルに口をつけて、コートへ戻った。

練習が終わって、片付けを済ませる。

体育館を出ると、壁際に立っていた木南がすぐにこっちへ来た。

「早手、お疲れ!」

「……ん」

「今日もすごかったね」

「そ?」

「うん。ずっと見てた」

木南はそう言って、俺の隣に並ぶ。

「ねぇ、今日も一緒に帰ろ?」

「……今日は無理」

「え?」

木南が足を止めた。

「なんで?」

「ちょっと用ある」

「用?」

「ん」

「…………」

木南は少し黙ってから、俺の顔を覗き込む。

「……誰かと帰るの?」

「…………」

「早手?」

「悪い。今日は先帰って」

それだけ言って、体育館の方へ戻る。

後ろから木南の視線を感じたけど、振り返らなかった。

体育館の中では、まだマネージャーが片付けをしている。

優希と水乃が、ボトルやタオルをまとめていた。

少し離れたところで待っていると、やがて片付けが終わったのか優希が先に体育館を出ていく。

水乃は倉庫から最後の荷物を持って出てきた。

「水乃」

「……え?」

俺を見つけて、少し驚いた顔をする。

「早手……まだいたの?」

「ん」

「どうしたの?」

「……待ってた」

「私を?」

「他に誰がいんだよ」

「…………」

水乃の頬が、赤くなった気がした。

「……っ!!」

赤く染まった頬に、手を触れる。

「え……?」

「……体調は?」

「え……」

「もう平気?」

「あ、今日は大丈夫」

「お腹も痛くねぇ?」

「ほとんど痛くないよ」

「……そっか」

水乃の顔を見たまま、ゆっくり手を離す。

昨日より顔色もいい。

それを確認して、少しだけ安心した。

「じゃ、帰るぞ」

「……え?」

「今日、一緒に帰る」

「…………」

水乃の表情が、少し困ったように変わった。

「何?」

「……あのね」

言いづらそうに視線を落としてから、水乃が小さく口を開く。

「……慎が、待ってる……」

「…………」

また。

慎かよ。