beautiful love ★ 俺様boyと天然girl

放課後。

体育館では、いつも通り部活が始まった。

「マネージャー! 水ー!」

「はーい!」

声をかけられて、水乃がボトルを持ってコートの方へ走ってくる。

朝はまだ少しぼーっとしてたけど、今は普通に動けてるみたいだった。

「早手」

「ん」

差し出されたボトルを受け取る。

「はい、真澄も」

「サンキュー」

「慎ー! 水いる?」

「いるー!」

水乃はそのまま慎の方へ走っていく。

昨日あれだけしんどそうにしてたのを見てるから、元気そうにしててもどうしても気になった。

休憩に入ってからも、コートの端で優希と話している水乃を何となく目で追っていた。

「……お前がそこまで心配しなくても、元気そうじゃん」

「……は?」

隣に座っていた真澄が、水を飲みながらこっちを見る。

「さっきから水乃ばっか見てるから」

「……別に」

「はいはい」

真澄はそれ以上突っ込まず、少し間を空けた。

「……で? より戻したの?」

「……は?」

「保健室。俺らが来た時、お前ら奥にいたんだろ?」

「…………」

……バレてたのかよ。

「慎に気づかれてないだけ、まだマシだよ」

「…………」

「……で? より戻した?」

「…………」

答えない俺を見て、真澄が小さく息を吐く。

「……まだってことか」

「…………」

「まぁ、お前が焦らないなら別に何も言わないけど」

真澄はボトルを床に置いて、俺を見る。

「どっちに本気になるのか、ちゃんと選んだ方がいいんじゃないの?」

「…………」

別に。

俺からしたら。

選択肢なんてない。

最初からずっと。

そんなことで迷ったことなんて、一度もない。

「……早手?」

「何」

「いや。なんでもない」

その時、休憩終了の声が体育館に響いた。

立ち上がりながら、もう一度だけ水乃の方を見る。

水乃もボトルを片付けて、優希と一緒に動き始めていた。

その時。

体育館の入り口に、人影が見えた。

「…………」

木南。

こっちに気づくと、いつものように軽く手を振ってくる。

俺は少しだけそっちを見て。

そのままコートへ戻った。