早手が保健室を出てから。
私はそのままベッドに横になっていた。
さっきより痛みは落ち着いてきたけど、
身体はまだ少し重い。
目を閉じると。
どうしても、さっきのことを思い出してしまう。
早手の声も。
触れられた頬も。
抱きしめた時の温もりも。
「…………」
布団を少しだけ顔まで引き上げる。
今は。
何も考えたくないのに。
頭から離れてくれなかった。
「水乃ー?」
しばらくして。
カーテンの向こうから、
聞き慣れた声がした。
「……優希?」
「よかった、起きてた」
カーテンを開けて、
優希が顔を覗かせる。
「大丈夫? まだ痛い?」
「ううん。だいぶマシになったよ」
「ほんと?」
「うん」
「ならよかったぁ……」
優希は安心したように息を吐いて、
ベッドのそばまでやってきた。
「片付け終わったよ」
「……ごめん。手伝えなくて」
「何言ってんの。そんなの気にしなくていいって」
「でも……」
「体調悪いんだから仕方ないでしょ」
優希はそう言って、
私の鞄を持ち上げた。
「帰れそう?」
「うん。もう大丈夫」
「じゃ、一緒に帰ろ」
「……うん」
ゆっくり身体を起こして、
ベッドから降りる。
少しだけお腹に違和感は残っているけど。
さっきみたいな痛みはもうなかった。
保健室を出て。
優希と並んで廊下を歩く。
文化祭が終わった校内は、
いつもよりずっと静かだった。
「あー、疲れたぁ」
優希が大きく伸びをする。
「でも楽しかったね、文化祭」
「うん」
「水乃、ほとんど最後寝てたけど」
「……それは言わないでよ」
「ふふ、ごめんごめん」
学校を出ても。
優希はいつも通りだった。
文化祭の話をしたり。
片付けが大変だったって話をしたり。
私も。
いつも通りに返していた。
早手のことは。
何も言わなかった。
まだ。
自分でもどうしたらいいのか、
分からなかったから。
ただ。
家に帰るまでずっと。
私の頭の中には。
あの時の早手の声が、
何度も繰り返されていた。
私はそのままベッドに横になっていた。
さっきより痛みは落ち着いてきたけど、
身体はまだ少し重い。
目を閉じると。
どうしても、さっきのことを思い出してしまう。
早手の声も。
触れられた頬も。
抱きしめた時の温もりも。
「…………」
布団を少しだけ顔まで引き上げる。
今は。
何も考えたくないのに。
頭から離れてくれなかった。
「水乃ー?」
しばらくして。
カーテンの向こうから、
聞き慣れた声がした。
「……優希?」
「よかった、起きてた」
カーテンを開けて、
優希が顔を覗かせる。
「大丈夫? まだ痛い?」
「ううん。だいぶマシになったよ」
「ほんと?」
「うん」
「ならよかったぁ……」
優希は安心したように息を吐いて、
ベッドのそばまでやってきた。
「片付け終わったよ」
「……ごめん。手伝えなくて」
「何言ってんの。そんなの気にしなくていいって」
「でも……」
「体調悪いんだから仕方ないでしょ」
優希はそう言って、
私の鞄を持ち上げた。
「帰れそう?」
「うん。もう大丈夫」
「じゃ、一緒に帰ろ」
「……うん」
ゆっくり身体を起こして、
ベッドから降りる。
少しだけお腹に違和感は残っているけど。
さっきみたいな痛みはもうなかった。
保健室を出て。
優希と並んで廊下を歩く。
文化祭が終わった校内は、
いつもよりずっと静かだった。
「あー、疲れたぁ」
優希が大きく伸びをする。
「でも楽しかったね、文化祭」
「うん」
「水乃、ほとんど最後寝てたけど」
「……それは言わないでよ」
「ふふ、ごめんごめん」
学校を出ても。
優希はいつも通りだった。
文化祭の話をしたり。
片付けが大変だったって話をしたり。
私も。
いつも通りに返していた。
早手のことは。
何も言わなかった。
まだ。
自分でもどうしたらいいのか、
分からなかったから。
ただ。
家に帰るまでずっと。
私の頭の中には。
あの時の早手の声が、
何度も繰り返されていた。
