そこにはいつもと変わらない笑顔の
慎がいた
「…どうして……!?」
「俺?さっきまでクラスの連れと
バスケしてたんだよ!
連れ6時からバイトだから
もう帰っちゃったんだ」
そうだとしても…
なんであたしなんかに…
「水乃はあれだろ?早手待ちか!
アイツの鞄持ってるから
そーだろなと思った!
てか、早手どこいってんの??」
「……えと…委員会」
なに食わぬ顔で
いつも通り接してきてくれる慎に
あたしは方針状態になってしまった
「水乃…顔面白い顔になってっぞ!」
「え!うそっ!」
「ほーんと、カバみたいな顔してた」
「ええぇっ!それって…」
「あ、カピバラのほうが近いか(笑)」
「ちょっと!それどうなのよっ!」
……てか、そんなことより…っ
「慎!ごめんなさい!!」
思わず立ち上がり深々と頭を下げた
「ごめん…あたし…
今まで慎に頼りっぱなしだったのに
助けてもらって…支えてくれたのに
慎のこと…傷つけてしまうようなこと
ばっかして…ごめんなさい…
あたしがはっきりしなかったから
慎にも期待させるようなことして…
本当にごめん
ちゃんと謝らなきゃって
思ってたけど…顔見るのが怖くて
ずっと先伸ばしにしてここまで来てしまった
悪いのは全部あたしだから
だから…早手を恨むようなこと
だけはしないで…
いっぱい傷つけて、迷惑かけて
ごめんなさい…」
泣いたらアウト
泣くな自分…
深く頭を下げたまま
慎の言葉を待った
「水乃…顔あげなって」
優しく語りかけるように
あたしの肩に手をおいた
「俺は、水乃が幸せならそれでいい
水乃の笑顔を見れるだけで
それだけで俺は満足
俺の大好きな水乃の笑顔を作れるのは
アイツだけだってわかってるから
水乃を早手に譲ったのも
もちろん後悔してない」
トクン…
頭を撫でてくれ
あたしと慎は向かい合わせになった
「幸せになって?
それがいまの俺の気持ち
でもそのかわり、これからも
幼なじみとして、水乃の笑顔を守っていく」
トクン
負けてしまった…
こんな言葉聞いて…
泣かない人なんていないよ…
「…でもあたし…慎の笑顔
守れなかった…」
「バァーカ、俺が勝手にお前に惚れたの!
そんなこと考えなくていいの!」
慎って…なんでこんなに優しいんだろ…
なんでこんなあたしを許してくれるんだろ…
「…これからも幼なじみとして
ちゃんといつも通り接してくれよ?
勝手に気まずいと思われちゃ
俺だって気つかっちまうし…
なんたって俺たち、やましいことなんか
これっぽっちもないんだからよ!
なっ!水乃!!」
大粒の涙がこぼれるなか
慎が笑顔で私の頭を撫でてくれた
「ありがと…」
あたしはその言葉を言うのが精一杯だった
「水乃、早手のこと、頼むな?
アイツぶっきらぼうで
本心なかなか言えないやつだけど
水乃がいれば素直になれる奴だから」
いつも通りの慎に戸惑ってしまう
慎の笑顔はどんなときでも
いつでもあたしを支えてくれる
「うん…っ」
慎と仲直りできて…よかった…
慎…こんなあたしを許してくれて
本当にありがとう………
