「はや…」
「ばか、喋んな」
トクン…
早手…なんで…??
今の今まで木南さんと楽しそうに
ビラ配りしてたじゃん━
「ねえあの男の子
超カッコよくない?」
「あの子の彼氏なのかなあ?
あたしあの人と仲良くなりたいっ」
「後であの男の子の
連絡先教えてもらおうよ!
ずっとこの喫茶店にいたら
また帰ってくるかなっ!!」
「おい…アイツイケメンじゃね?」
「もしかしてあの子の男?
俺狙おうと思ってたのに!?」
シンと空気が静まっていた
教室の雰囲気が
早手が入ってきたことに
お客さんほとんどが
早手に視線が走っていた
でもあたしは恥ずかしさのあまり
涙が止まらず
早手の顔を見ることが出来なかった
こんなとこ…早手に
見られたくなかったのにっ…
何で…
もう別れたはずなのに…
諦めたはずなのに…
なんでこんなにもドキドキするの…?
「…立てるか?」
…どっか行ってほしい…
「…ッヒック………ほっといて……ッ」
喋りたくないよ…
いなくなりたい…
消えたい…もうやだよっ…
パサ!
「!?」
宗太の被せてくれていた上着を剥ぎ取り
自分が着ていた
白の執事服のタキシードを
体をくるむように後ろから
被せてくれた
フワ…
えっ…?
「ちょっ!
早手っ!?」
「悪い、保健室行くわ」
「はっ…はいっ!!」
ちょっと待ってよ…!?
あたし早手とはいたくないっ…!!
とも言えず
あたしの体は早手によって
軽々しく抱き上げられ
そのまま動き出した
「キャーッ!
カッコいいっ!!」
「あの子神崎くんって言うんだって!!」
「女の子の事軽々しく
抱き上げちゃったっ!!
あたしもしてほしいーっ!!」
「なにカッコつけてんだよ
王子様気取り?逆に恥ずかしいっての!」
「ギャハハハハハッ!お前みたいな男
その子が相手してくれると思うなよ!」
「ナルシストだろ?お前
他の女に見せつけたいのミエミエなんだよ!」
なんでそんなこと言うの…っ?
他校の女の子の歓声が高ぶってるとは真逆で
早手は男子客から心ない言葉を
吐き出されていた…
なんで…早手は何も悪くないのに…
なんでお客さんはそんなこと言うの…?
「何も俺らに言い返せねーんだ(笑)
そーだよなー!文化祭だもんな!
他校の生徒と揉め事起こしたら
処分受けるもんな!!
何か言い返してみろよ!ナル男くんよー!」
「いい加減に…「あんた大事な女いねーの?」
……え?
優希が言い返そうとした途端
早手が口を開いた
「…あぁ?」
「好きな女守るためなら
恥ずかしくても
なんでもするに決まってんじゃん
いつか守るものが出来たら
分かると思いますよ
あんたにも俺の気持ちが」
トクン……
はやて…?
それ……どういう意味……………?
「キャァァァァァァァァァァ!!!」
女子の喚声があがるなか
それだけを言い残して
早手は教室を出ていった
