私はそのまま、接客の準備をしている慎たちのところへ戻った。
「遅かったな」
「ごめん。どこまでやった?」
「ここ。あとはこれ貼れば終わり」
「分かった」
慎の隣に座って、さっきの続きを始める。
「水乃、これ」
「ん、ありがと」
テープを受け取って、飾りを貼る。
その時。
少し離れたところから、木南さんの笑い声が聞こえた。
なんとなく顔を上げる。
「もう、早手それ違うって」
「え、マジ?」
「そこじゃなくてこっち」
「あー、ほんとだ」
「ちゃんと見てよ」
「見てたって」
「絶対見てないでしょ」
「見てた見てた」
木南さんが笑って。
早手も笑っていた。
「…………」
楽しそう。
ついさっきまで。
私と慎のこと、あんなに気にしてたくせに。
――最近、慎ばっかじゃん。
そんなこと言って。
私が戻ろうとしたら、手まで掴んできたのに。
自分は。
木南さんとあんなふうに笑うんだ。
「……水乃?」
「え?」
「これ、そこじゃなくね?」
「あ……ほんとだ」
「何してんだよ」
「ごめん」
「珍し。水乃が間違えるとか」
「慎が喋るからじゃん」
「俺のせい?」
「そう」
「理不尽すぎんだろ」
慎が笑う。
「ほら、貸して」
「いいよ、自分でやる」
「また間違えんぞ」
「間違えないって」
「はいはい」
慎が私の手から飾りを取って、貼り直す。
その横顔を見ながら。
もう一度だけ。
早手の方を見る。
まだ、木南さんと話していた。
「…………」
だったら。
私が慎と一緒にいたって。
別にいいじゃん。
「慎」
「ん?」
「次、何やる?」
「お、やる気出た?」
「早く終わらせよ」
「はいはい。じゃあ次これな」
「うん」
私はもう、早手の方を見なかった。
「遅かったな」
「ごめん。どこまでやった?」
「ここ。あとはこれ貼れば終わり」
「分かった」
慎の隣に座って、さっきの続きを始める。
「水乃、これ」
「ん、ありがと」
テープを受け取って、飾りを貼る。
その時。
少し離れたところから、木南さんの笑い声が聞こえた。
なんとなく顔を上げる。
「もう、早手それ違うって」
「え、マジ?」
「そこじゃなくてこっち」
「あー、ほんとだ」
「ちゃんと見てよ」
「見てたって」
「絶対見てないでしょ」
「見てた見てた」
木南さんが笑って。
早手も笑っていた。
「…………」
楽しそう。
ついさっきまで。
私と慎のこと、あんなに気にしてたくせに。
――最近、慎ばっかじゃん。
そんなこと言って。
私が戻ろうとしたら、手まで掴んできたのに。
自分は。
木南さんとあんなふうに笑うんだ。
「……水乃?」
「え?」
「これ、そこじゃなくね?」
「あ……ほんとだ」
「何してんだよ」
「ごめん」
「珍し。水乃が間違えるとか」
「慎が喋るからじゃん」
「俺のせい?」
「そう」
「理不尽すぎんだろ」
慎が笑う。
「ほら、貸して」
「いいよ、自分でやる」
「また間違えんぞ」
「間違えないって」
「はいはい」
慎が私の手から飾りを取って、貼り直す。
その横顔を見ながら。
もう一度だけ。
早手の方を見る。
まだ、木南さんと話していた。
「…………」
だったら。
私が慎と一緒にいたって。
別にいいじゃん。
「慎」
「ん?」
「次、何やる?」
「お、やる気出た?」
「早く終わらせよ」
「はいはい。じゃあ次これな」
「うん」
私はもう、早手の方を見なかった。
