beautiful love ★ 俺様boyと天然girl

早手に「朝は先に行ってて」と言われてから、数日が経った。

朝、家を出ても、もういつもの場所に早手はいない。

最初の頃は、いないって分かってるのに、ついいつもの場所を見てしまっていた。

でも、それにも少しずつ慣れてきた。

早手は朝も自主練を始めたらしい。

学校に着く頃にはもう体育館にいて、部活が終わってからも残って練習している。

「そんなに練習して疲れないの?」

前にそう聞いたら、

「別に。今だけだから」

って言ってた。

だから私も、それ以上は聞かなかった。

学校に行けば普通に話すし、部活でもいつもの早手だ。

ただ、朝一緒に学校へ行かなくなって。

帰りも、一緒に帰らなくなった。

前までは当たり前だった時間が、少しずつなくなっていく。

それだけなのに、前よりずっと早手が遠くなった気がした。

その日も、いつもの道を1人で歩いていた。

「水乃?」

後ろから名前を呼ばれて振り返ると、慎が小走りでこっちに向かってくる。

「やっぱ水乃じゃん。おはよ」

「おはよ」

「最近1人なん?」

「うん」

「早手は?」

「朝も自主練するんだって」

「マジ? あいつ朝からやってんの?」

「うん。最近ずっと」

「元気だなー。俺、絶対無理」

「慎、朝弱そう」

「弱そうじゃなくて弱い」

「やっぱり」

「何笑ってんだよ」

慎が笑うから、私もつられて笑った。

こうやって誰かと話しながら学校へ行くのも、久しぶりな気がする。

「水乃、今日も文化祭の準備残る?」

「残るよ」

「じゃ、俺も残ろ」

「慎も接客なんだから残ってよ」

「水乃がいるなら頑張る」

「なにそれ」

「やる気の問題」

「ちゃんとやってください」

「はいはい」

くだらない話をしているうちに、学校に着いた。

教室の前まで来ると、慎が私より先に扉を開ける。

「どーぞ」

「ありがとうございます」

「接客の練習」

「慎、執事でしょ?」

「あ、そっか」

「忘れないでよ」

笑いながら教室に入った、その時。

前を見ると、早手と目が合った。

早手は私を見て、それから隣にいる慎を見る。

「…………」

何も言わなかったけど。

その顔は、明らかに機嫌が悪かった。