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早手と別れて、第2教室に戻る。
「水乃、どこ行ってたの?」
戻った途端、優希がこっちを見る。
「えっ」
「さっきいなかったじゃん」
「ちょっと……早手に呼ばれて」
「早手に?」
「うん」
優希が私の顔をじーっと見る。
「……なに?」
「別にー」
「なにその顔!」
「水乃、顔赤いけど」
「赤くない!」
「はいはい」
絶対分かってる。
それ以上聞かれないうちに、ピンクのメイド服を脱いで制服に着替えた。
さっき早手に言われたことを思い出すと。
また少しだけ、顔が熱くなる。
着替えを終えて教室へ戻ると。
早手はもう戻っていて、真澄たちと話していた。
一瞬だけ。
目が合う。
「…………」
「…………」
なんとなく恥ずかしくなって。
先に私が目を逸らした。
そのあと部活へ向かうと。
いつも通り、体育館にはボールの音が響いていた。
「水乃、ボトル」
休憩に入った早手がこっちに来る。
「はい」
「ありがと」
「今日きつそうだね」
「マジでキツい。先生メニュー増やしすぎ」
「頑張ってー」
「軽っ」
「ふふっ」
そんな話をして。
休憩が終われば、早手はまたコートへ戻っていく。
真澄や慎といつもみたいに言い合って。
私も優希とマネージャーの仕事をする。
いつもと変わらない。
だから。
さっきまで気にしていたことも。
少しだけ薄れていった。
練習が終わる。
「水乃、帰ろー」
準備を終えた優希が鞄を持つ。
「……うん」
私も鞄を持って。
少しだけ迷ってから、早手を見る。
体育館にはまだ早手がいて。
これから自主練を始めるところだった。
「……早手」
「ん?」
「今日も?」
それだけで。
早手には伝わった。
「……うん」
ボールを持ったまま、早手が頷く。
「今日も先帰って」
「…………」
「何時までやるの?」
「分かんね。昨日くらい」
「そっか……」
「遅くなるから、優希と帰れよ」
「……うん」
さっきまで。
あんなに普通だったのに。
「じゃあ、お疲れ」
「おう」
早手に背を向けて。
優希と一緒に体育館を出た。
