beautiful love ★ 俺様boyと天然girl











「ちょっ、早手……!」

手を引かれたまま、廊下を歩く。

「早手ってば!」

「…………」

全然止まってくれない。

人の少ない階段まで来て、やっと早手が足を止めた。

「……なに?」

「…………」

早手は何も言わず、私を見る。

顔から。

そのまま視線が下がって。

「……そのスカート、短すぎ」

「え?」

思わず自分のスカートを見る。

「これ?」

「それ以外何があんだよ」

「でも、こういう衣装なんだもん」

「それで接客すんの?」

「そうだよ?」

「……マジで?」

「うん」

早手の眉間に、さらに皺が寄る。

「もっと長いのないわけ?」

「多分ないよ。これSだし」

「じゃあ別のにすれば」

「白も同じくらいだと思うけど」

「…………」

「早手、この服嫌なの?」

「別に」

「じゃあなんで怒ってるの?」

「怒ってねぇよ」

「怒ってるじゃん」

「……お前が何も気にしてねぇからだろ」

「え?」

早手がこっちを見る。

「さっきから、どんだけ見られてたと思ってんの」

「見られてた?」

「ほら。それすら気づいてねぇじゃん」

「だって、みんな衣装見てただけじゃないの?」

「違ぇよ」

いつもより低い声。

「可愛いだの、文化祭で告るだの、好き勝手言われてんのに」

「…………」

「お前は普通に笑ってるし」

「だって褒めてもらったから……」

「だからってあんなニコニコすんなよ」

「えぇ!?」

「何」

「そんなこと言われても……」

「あとスカート触んな」

「え?」

「さっきから裾気にして触ってただろ」

「だって短いから!」

「余計見られてんの」

「そんなの知らないよ!」

「だから言ってんだろ」

なんで。

こんなに怒ってるんだろう。

でも。

ここまで言われたら。

さすがに分かる。

「……早手」

「何」

「もしかして、ヤキモチ?」

「違う」

即答。

「絶対そうじゃん」

「違うって」

「じゃあなんで私連れてきたの?」

「…………」

早手が黙る。

「みんなに見られてたから?」

「…………」

「告白するって言われてたから?」

「……うるせぇな」

「当たってる?」

「水乃」

「なに?」

「調子乗んな」

「乗ってないよ!」

「顔ニヤけてんじゃん」

「だって……」

ちょっと。

嬉しい。

「じゃあ、似合ってた?」

「…………」

「早手?」

「それ今聞く?」

「聞きたい」

早手が大きく息を吐く。

「……似合ってる」

「ほんと?」

「似合ってるからムカついてんだろ」

「…………」

「何」

「ううん」

「じゃあ戻るぞ」

早手が歩き出す。

「待って」

「何だよ」

「もう怒ってない?」

「怒ってねぇって」

「じゃあ本番もこれ着ていい?」

「…………」

また黙った。

「早手?」

「……知らね」

「なにそれ」

「好きにすれば」

そう言いながら。

ものすごく嫌そうな顔。

「じゃあ着るね」

「…………」

「接客頑張るね」

「…………」

「いっぱいニコニコするね」

「お前マジでやめろ」

すぐに返ってきて。

思わず笑った。

「やっぱりヤキモチじゃん!」

「うるせぇ!」

先に歩いていく早手の耳は。

真っ赤だった。