衣装が決まれば、次はサイズ合わせ。
みんなそれぞれ選んだ衣装を持って、着替え始める。
私も制服のシャツを脱いで。
ピンクのメイド服に袖を通した。
「…………」
鏡を見る。
やっぱり。
似合わない。
というか。
思ってたより、スカート短くない……?
裾を引っ張ってみる。
もちろん、伸びるわけもなく。
膝なんて余裕で出てる。
結構ミニじゃん……。
「これ本当にSサイズ……?」
タグを見る。
ちゃんとS。
私、背低いのに。
なんでこんなに短いんだろ。
周りを見ると、みんなもう少し余裕があるように見える。
「水乃、ピンクめっちゃ似合うじゃん!」
同じ接客班の子に声をかけられて、振り返る。
「ええっ、全然似合ってないよ!」
「なんで!? 可愛いって!」
「そっちの白の方が可愛いよ!」
「水乃も似合ってるって!」
別の子まで寄ってくる。
「本番、髪も巻こうよ!」
「あ、それ絶対可愛い!」
「水乃も巻こ!」
「ええ……」
みんな楽しそう。
白も。
ピンクも。
ちゃんと似合ってる。
それに比べて私は。
完全に服に着られてる気がする。
「…………」
やっぱり白にすればよかったかな。
「修原さん」
「え?」
後ろから呼ばれて、振り返る。
そこにいたのは。
木南さんだった。
紺と白のセーラー服。
胸元には赤いリボン。
「わ、木南さん似合うね」
思わずそう言うと。
「ほんと?」
「うん。すごく似合ってる」
「よかった。赤と青で迷ったんだけど、赤にしたんだ」
「赤似合ってる」
「じゃあこれにしよ」
木南さんが嬉しそうに笑う。
それから私を見て。
「修原さんも、ピンクすごい似合ってるね」
「えっ」
「可愛い」
「そ、そんなことないよ」
「あるって」
木南さんが笑いながら、私のメイド服を見る。
「ピンク、修原さんっぽい」
「そうかな……」
「うん」
いつも通り。
普通に話しかけてくる木南さん。
だけど私は。
前みたいに何も考えず話せなくなっていた。
「スカート気にしてる?」
「えっ」
「さっきからずっと裾引っ張ってるから」
見られてた。
「だって、思ったより短くて……」
「でも変じゃないよ」
「ほんと?」
「うん。似合ってる」
「……ありがとう」
木南さんは何も知らない。
私が。
早手と木南さんのことを気にしてるなんて。
「水乃ー! そろそろ戻るって!」
接客班の子に呼ばれる。
「あ、うん!」
返事をして、もう1度鏡を見る。
このまま。
教室戻るの……?
急に恥ずかしくなってきた。
