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それから。
私は言われた通り、練習が終わると優希と帰るようになった。
掃除当番なのに。
モップを持とうとするたび。
「水乃、いいって」
早手に止められる。
そして。
「優希、水乃よろしく」
「え? あ、うん」
結局、今日も体育館を出る。
「……ねえ」
校門を出たところで、優希が私の顔を覗き込んできた。
「なに?」
「最近どうしたの?」
「え?」
「水乃」
優希が少しだけ眉を寄せる。
「なんか変だよ」
「そんなことないよ」
「ある」
「ないって」
「早手となんかあった?」
ドキッとした。
「……なんで早手?」
「だって最近、一緒に帰ってないじゃん」
「早手、自主練してるから」
「それは知ってるけど」
優希が私を見る。
「水乃、待たないの?」
「…………」
「前だったら絶対待つって言いそうなのに」
「私も待つって言ったよ」
「じゃあなんで帰ってんの?」
「……早手が帰れって」
「早手が?」
「うん」
優希が少し驚いた顔をする。
「遅くなるからって」
「そっか」
「先週も優希、先に帰ってたんでしょ?」
「あー……うん」
「早手が掃除してくれてたって」
「そうそう。自主練終わったあとやっとくから帰れって言われて」
やっぱり。
私だけじゃない。
「じゃあ、同じだね」
そう言って笑う。
だけど。
「……水乃」
「なに?」
「ほんとに、それだけ?」
足が止まりそうになった。
頭に浮かんだのは。
早手の腕の中にいた木南さん。
――今日も少し、話せる?
「…………」
「それだけだよ」
笑って答える。
優希には。
まだ言えなかった。
