放課後。
帰りのホームルームが終わると同時に、鞄を持って立ち上がった。
「早手!」
……。
振り返ると、水乃が俺の前に立っていた。
「今日から補習だからね!」
「……行かねぇよ」
「だめ! ちゃんと行くの!」
「部活あるし」
「補習が先って先生に言われたんでしょ?」
「1日くらいいいだろ」
「よくないよー!」
水乃が俺の腕をぺしっと叩く。
「痛ぇって」
「じゃあちゃんと行って!」
「はいはい、そこまで!」
横から優希が水乃の腕を掴んだ。
「水乃、早く行くわよ! もうみんな体育館向かってるんだから」
「でも早手が――」
「もう、あんたが悪いんだから、さっさと補習片付けてきなさい!」
「……なんで優希にまで怒られんの」
「課題出してないからでしょ」
「…………」
正論なのが余計ムカつく。
「水乃ー! 早く部活行こうぜ!」
教室の外から慎がやって来た。
「何してんの?」
「早手が補習行かないって言うの!」
「まだ言ってんのかよ」
慎が笑いながら、水乃の隣に立つ。
「ほら、水乃は俺らと行こうぜ」
そう言って、慎が何気なく水乃の頭を撫でた。
ぽんぽん。
「…………」
……イラ。
「あ、慎! 髪ぐちゃぐちゃになるー!」
「大丈夫だって」
楽しそうに笑っている2人を見る。
別に、いつものことだ。
慎が水乃にああやって触るのも、今に始まったことじゃない。
分かってるけど。
……やっぱムカつく。
「早手、ちゃんと補習行ってね?」
水乃が慎の手を頭からどけながら、もう1度こっちを見る。
「分かったって」
「終わったらちゃんと部活来るんだよ?」
「ん」
「じゃあ、あとでね!」
優希に腕を引かれ、水乃が教室を出ていく。
慎もその後を追っていった。
「…………」
さっきまで補習なんてサボる気だったけど、気が変わった。
たった1時間。
こんなもん、とっとと終わらせればいい。
1時間の補習をさっさと片付けて、1秒でも早くバスケに向かう。
そう心に誓った。
「……やっと終わった」
長ぇ。
これがあと4日も続くのかよ。
そう考えただけで、もうめんどくさい。
補習に来ていたのは俺だけじゃなくて、他のクラスのやつも何人かいた。
見事に男ばっか。
……まあ、俺だけじゃなかっただけマシか。
補習が終わった頃には、17時を過ぎていた。
重たい教科書を持ったまま部活に行くのは嫌だったから、1度教室に置いていくことにした。
ガラッ!!
「……っ!!」
「…………」
教室に入ると、机に頭をつけるようにしていた木南が、驚いたように身体を起こした。
「……神崎くん」
「…………」
また。
木南は慌てて顔を逸らすと、そのまま目元を拭った。
……また泣いてんじゃん。
金曜日にも見たばっかりだから、今度はすぐに分かった。
つーか俺。
なんで2回連続で、こんなタイミングで帰ってくるんだよ。
時計を見る。
もう17時を過ぎていた。
補習だった俺はともかく、木南はなんでこんな時間まで残ってんだ。
「…………」
まあ、いいか。
別に俺には関係ない。
そう思いながら、持っていた教科書を机の中に入れる。
木南は何も言わない。
俺も、何で泣いてるのかは聞かなかった。
「じゃ」
鞄を持って、教室を出ようとする。
「……神崎くん」
「ん?」
振り返ると、木南はまだ少し赤い目でこっちを見ていた。
「……ううん。なんでもない」
「…………」
また前を向いて、扉に手をかける。
でも。
2回も続けてこんな姿を見たせいか、そのまま出ていくのもなんとなく気になった。
「……あんまり、無理するなよ」
「え……?」
それだけ言って、今度こそ教室を出た。
何で泣いてんのかも。
何でこんな時間まで1人で残ってんのかも。
結局、何も聞かなかった。
俺には関係ないし、本人が言わないことを無理に聞くつもりもない。
ただ。
2回も泣いてるところを見たから、少し気になった。
それだけだった。
俺はそのまま、体育館へ向かった。
帰りのホームルームが終わると同時に、鞄を持って立ち上がった。
「早手!」
……。
振り返ると、水乃が俺の前に立っていた。
「今日から補習だからね!」
「……行かねぇよ」
「だめ! ちゃんと行くの!」
「部活あるし」
「補習が先って先生に言われたんでしょ?」
「1日くらいいいだろ」
「よくないよー!」
水乃が俺の腕をぺしっと叩く。
「痛ぇって」
「じゃあちゃんと行って!」
「はいはい、そこまで!」
横から優希が水乃の腕を掴んだ。
「水乃、早く行くわよ! もうみんな体育館向かってるんだから」
「でも早手が――」
「もう、あんたが悪いんだから、さっさと補習片付けてきなさい!」
「……なんで優希にまで怒られんの」
「課題出してないからでしょ」
「…………」
正論なのが余計ムカつく。
「水乃ー! 早く部活行こうぜ!」
教室の外から慎がやって来た。
「何してんの?」
「早手が補習行かないって言うの!」
「まだ言ってんのかよ」
慎が笑いながら、水乃の隣に立つ。
「ほら、水乃は俺らと行こうぜ」
そう言って、慎が何気なく水乃の頭を撫でた。
ぽんぽん。
「…………」
……イラ。
「あ、慎! 髪ぐちゃぐちゃになるー!」
「大丈夫だって」
楽しそうに笑っている2人を見る。
別に、いつものことだ。
慎が水乃にああやって触るのも、今に始まったことじゃない。
分かってるけど。
……やっぱムカつく。
「早手、ちゃんと補習行ってね?」
水乃が慎の手を頭からどけながら、もう1度こっちを見る。
「分かったって」
「終わったらちゃんと部活来るんだよ?」
「ん」
「じゃあ、あとでね!」
優希に腕を引かれ、水乃が教室を出ていく。
慎もその後を追っていった。
「…………」
さっきまで補習なんてサボる気だったけど、気が変わった。
たった1時間。
こんなもん、とっとと終わらせればいい。
1時間の補習をさっさと片付けて、1秒でも早くバスケに向かう。
そう心に誓った。
「……やっと終わった」
長ぇ。
これがあと4日も続くのかよ。
そう考えただけで、もうめんどくさい。
補習に来ていたのは俺だけじゃなくて、他のクラスのやつも何人かいた。
見事に男ばっか。
……まあ、俺だけじゃなかっただけマシか。
補習が終わった頃には、17時を過ぎていた。
重たい教科書を持ったまま部活に行くのは嫌だったから、1度教室に置いていくことにした。
ガラッ!!
「……っ!!」
「…………」
教室に入ると、机に頭をつけるようにしていた木南が、驚いたように身体を起こした。
「……神崎くん」
「…………」
また。
木南は慌てて顔を逸らすと、そのまま目元を拭った。
……また泣いてんじゃん。
金曜日にも見たばっかりだから、今度はすぐに分かった。
つーか俺。
なんで2回連続で、こんなタイミングで帰ってくるんだよ。
時計を見る。
もう17時を過ぎていた。
補習だった俺はともかく、木南はなんでこんな時間まで残ってんだ。
「…………」
まあ、いいか。
別に俺には関係ない。
そう思いながら、持っていた教科書を机の中に入れる。
木南は何も言わない。
俺も、何で泣いてるのかは聞かなかった。
「じゃ」
鞄を持って、教室を出ようとする。
「……神崎くん」
「ん?」
振り返ると、木南はまだ少し赤い目でこっちを見ていた。
「……ううん。なんでもない」
「…………」
また前を向いて、扉に手をかける。
でも。
2回も続けてこんな姿を見たせいか、そのまま出ていくのもなんとなく気になった。
「……あんまり、無理するなよ」
「え……?」
それだけ言って、今度こそ教室を出た。
何で泣いてんのかも。
何でこんな時間まで1人で残ってんのかも。
結局、何も聞かなかった。
俺には関係ないし、本人が言わないことを無理に聞くつもりもない。
ただ。
2回も泣いてるところを見たから、少し気になった。
それだけだった。
俺はそのまま、体育館へ向かった。
