beautiful love ★ 俺様boyと天然girl

【水乃Side】

その日の夜。


自分の部屋に戻ってからも、私はずっと落ち着かなかった。

明日、早手とデート。

そう思うたびに嬉しくなるのに、それと同時にどうしたらいいのか分からなくなって、さっきからベッドの上を意味もなくゴロゴロしている。

「どうしよう……どうしようどうしよう……」

デートって、何するの?

何着ていけばいいの?

いつもみたいにしてればいい?

でも、それじゃデートっぽくないような気もする。

考えれば考えるほど分からなくなって、私はベッドの上に置いていたスマホを掴んだ。

こういう時、頼れる人なんて一人しかいない。

すぐに優希へ電話をかける。


『もしもし?』


「優希ぃぃぃ、どうしよう!!」


『うるさっ! なに!? どうしたの!?』


「明日、早手とデートすることになったの!」


『えっ!? デート!?』


「どうしようどうしよう、私どうしたらいい!?」

『ちょっと待って、落ち着いて! 何をそんなに焦ってんのよ』

「だってデートなんてしたことないもん! 何すればいいの!? 何着てけばいい!? いつも通りでいいの!?」

『一気に聞かないでよ! ていうか早手から誘ってきたんでしょ?』

「うん……。“明日暇?”って聞かれて、“どっか行くか?”って」

『なにそれ、普通にデートじゃん』

「私、最初分かんなくて優希も誘う?って聞いちゃった……」

『えぇ!? 水乃、それはさすがに鈍感すぎるって!』

「だって分かんなかったんだもん! 早手も最初デートって言わなかったし!」

『それで? 早手なんて言ってた?』

「“誘うわけねーじゃん”って。“俺とお前、二人で行く”って……」

『…………へぇー』

「な、なにその言い方!」

『いやぁ、早手もちゃんと彼氏やってるんだなぁと思って』

「もうっ! それより明日どうしたらいいの!? 私、変なことしそうで怖いよぉ!」

『何もしなくていいって。水乃はいつも通りでいればいいの』

「でもデートだよ!? いつも通りでいいの!?」

『いいの! ちょっと可愛い服着て、いつもより髪頑張って、あとは普通に楽しんできなよ』

「……それだけ?」

『それだけ。早手は水乃と二人で出かけたいから誘ったんでしょ? だったら水乃が楽しんでれば、それでいいじゃん』

「…………そっか」

なんだか少しだけ、肩の力が抜けた。

何か特別なことをしなきゃいけないと思ってたけど。

明日一緒にいるのは、知らない男の子じゃない。

ずっと一緒にいた早手なんだ。

『まあ、明日になったらまたテンパってそうだけどね』

「うっ……」

『ふふっ。帰ってきたらちゃんと報告してよ?』

「えぇー!?」

『初デートなんだから当然! じゃ、おやすみー!』

「ちょ、優希! まだ聞きたいことあるんだけど――!」

電話が切れた。

「…………もう」

スマホを握ったまま、ベッドに倒れ込む。

少し落ち着いたと思ったのに。

頭の中に明日の早手を思い浮かべた瞬間、また心臓がドキドキし始めた。

「……どうしよう」

明日。

ちゃんと普通にできるかな。