部活が終わる頃には、外はすっかり暗くなっていた。
片付けを終えた水乃と一緒に学校を出て、いつもの道を並んで歩く。
水乃は何も知らず、隣でいつも通りのんびり歩いてる。
「……なぁ」
「ん。なぁにー?」
「明日、土曜だよな」
「うん」
「お前、暇?」
水乃がこっちを見る。
「明日?」
「うん」
「明日、予定ないよー」
「じゃあ、どっか行くか?」
「いいよー」
返事、早。
もう少しくらい何かあるかと思ったのに、水乃はいつもと何も変わらない。
「どこ行くの?」
「まだ決めてねぇ」
「えー、決めてないの?」
「今思いついたから」
「そっかぁ」
水乃は少し考えるように前を向いて。
すぐに、何か思いついたように顔を上げた。
「じゃあ、優希も誘う?」
「は?」
「優希。明日予定あるかな?」
「誘うわけねーじゃん」
「……え?」
何も分かってないこいつは、きょとんとした顔で俺を見上げてる。
「なんで?」
「…………」
マジか、こいつ。
「お前、マジで鈍感……」
「え、何が?」
「俺が休みの日にどっか行こうって誘ってんのに、なんでそこで優希が出てくんだよ」
「だって、みんなで行った方が楽しいかなって……」
「みんなで行きたいわけじゃねぇし」
「……そうなの?」
「そうなのって……」
本当に何も分かってねぇ。
思わずため息が出る。
「明日は二人」
「え?」
「俺とお前。二人で行く」
「…………」
水乃がぱちぱちと瞬きをする。
「二人で?」
「うん」
「なんで?」
「…………」
こいつ。
マジか。
「お前さぁ……ほんっと鈍感」
「だから何が!?」
「自分で考えろ」
「分かんないから聞いてるんじゃん!」
不満そうに頬を膨らませる。
それから少しして。
何かに気づいたように、水乃の足がゆっくり止まった。
「…………あ」
「やっと?」
「もしかして……」
俺を見る水乃の頬が、みるみる赤くなっていく。
「……デート?」
「最初からそのつもりだけど」
「えぇっ!?」
「声でけぇ」
「だって早手、デートなんて一言も言ってないじゃん!」
「普通分かるだろ」
「分かんないよ! ただ遊びに行くんだと思った!」
「だから二人で行くって言ってんだろ」
「それ最初は言ってなかったもん!」
「…………」
それは確かに言ってない。
でも、まさか優希まで誘おうとするとは思わなかった。
「……で、どうすんの」
「え?」
「行く? 行かねぇ?」
そう聞くと、さっきまで文句を言っていた水乃が急に大人しくなった。
赤くなった顔を少し俯かせて、しばらく黙ったあと。
「……行く」
小さな声でそう答える。
「そ」
たったそれだけなのに。
思っていたより、嬉しかった。
家なんて隣で、明日になれば当たり前みたいにまた顔を合わせる。
今までなら、それだけだった。
でも明日は。
彼女になった水乃と、初めてちゃんと二人で出かける。
そう思うと。
明日が来るのが、少しだけ待ち遠しかった。
片付けを終えた水乃と一緒に学校を出て、いつもの道を並んで歩く。
水乃は何も知らず、隣でいつも通りのんびり歩いてる。
「……なぁ」
「ん。なぁにー?」
「明日、土曜だよな」
「うん」
「お前、暇?」
水乃がこっちを見る。
「明日?」
「うん」
「明日、予定ないよー」
「じゃあ、どっか行くか?」
「いいよー」
返事、早。
もう少しくらい何かあるかと思ったのに、水乃はいつもと何も変わらない。
「どこ行くの?」
「まだ決めてねぇ」
「えー、決めてないの?」
「今思いついたから」
「そっかぁ」
水乃は少し考えるように前を向いて。
すぐに、何か思いついたように顔を上げた。
「じゃあ、優希も誘う?」
「は?」
「優希。明日予定あるかな?」
「誘うわけねーじゃん」
「……え?」
何も分かってないこいつは、きょとんとした顔で俺を見上げてる。
「なんで?」
「…………」
マジか、こいつ。
「お前、マジで鈍感……」
「え、何が?」
「俺が休みの日にどっか行こうって誘ってんのに、なんでそこで優希が出てくんだよ」
「だって、みんなで行った方が楽しいかなって……」
「みんなで行きたいわけじゃねぇし」
「……そうなの?」
「そうなのって……」
本当に何も分かってねぇ。
思わずため息が出る。
「明日は二人」
「え?」
「俺とお前。二人で行く」
「…………」
水乃がぱちぱちと瞬きをする。
「二人で?」
「うん」
「なんで?」
「…………」
こいつ。
マジか。
「お前さぁ……ほんっと鈍感」
「だから何が!?」
「自分で考えろ」
「分かんないから聞いてるんじゃん!」
不満そうに頬を膨らませる。
それから少しして。
何かに気づいたように、水乃の足がゆっくり止まった。
「…………あ」
「やっと?」
「もしかして……」
俺を見る水乃の頬が、みるみる赤くなっていく。
「……デート?」
「最初からそのつもりだけど」
「えぇっ!?」
「声でけぇ」
「だって早手、デートなんて一言も言ってないじゃん!」
「普通分かるだろ」
「分かんないよ! ただ遊びに行くんだと思った!」
「だから二人で行くって言ってんだろ」
「それ最初は言ってなかったもん!」
「…………」
それは確かに言ってない。
でも、まさか優希まで誘おうとするとは思わなかった。
「……で、どうすんの」
「え?」
「行く? 行かねぇ?」
そう聞くと、さっきまで文句を言っていた水乃が急に大人しくなった。
赤くなった顔を少し俯かせて、しばらく黙ったあと。
「……行く」
小さな声でそう答える。
「そ」
たったそれだけなのに。
思っていたより、嬉しかった。
家なんて隣で、明日になれば当たり前みたいにまた顔を合わせる。
今までなら、それだけだった。
でも明日は。
彼女になった水乃と、初めてちゃんと二人で出かける。
そう思うと。
明日が来るのが、少しだけ待ち遠しかった。
