「相沢奈津子です。よろしくお願いします。今朝のお呼びだしは何も気にせずわたしと仲良くして下さい」
やはり今朝のお呼びだしを誰もが聞いていたらしく、教室に笑いが起こる。
うん、色々と大事なものを失った気がするけど、掴みはバッチリだね!
ふと教室を見渡すと東条くんと目が合った。
東条くんはへらりと笑って手を振ってくれたから、わたしも綺麗に微笑んだ、つもり。
「それじゃあ、相沢の席は吉井の隣な」
「吉井はあたしね、奈津子ちゃん」
美人で快活そうな女の子が手をあげた。
わたしが席に着くと、HRは終わって、休み時間となった。
「あたし吉井柚葉ね。柚葉で良いよ」
「わたしはさっきも自己紹介したけど、相沢奈津子。わたしも奈津子って呼んで!」
わたしはここに来て初めての友達に心が温かくなった。

