「さすがは東条。勉強やスポーツ、生徒会の仕事だけではなく、迷子の保護も完璧にこなすとは」
「いえいえ、時間通りに相沢さんを連れてこれなかったのは僕の責任です。今回は相沢さんも編入初日だったので、遅刻というのは見逃していただけないでしょうか?」
「すみません…。以後遅刻には気をつけます」
「東条の頼みなら仕方ないな。相沢、今度からは気をつけるんだぞ」
「…ありがとうございます!」
「良かったね、相沢さん」
東条くんってすごいんだなー。
かっこよくて、優しくて、勉強もスポーツも出来て、生徒会長で、おまけに先生の信頼も勝ち得てるなんて。
わたしはますます東条くんに心惹かれていった。
ひとめぼれ、ってやつだよね。
そんなの初めてしたよ。
「あ、ちなみに東条と相沢、同じクラスだから」
「そうなんだ、よろしく、相沢さん。何か困ったことがあったら俺に言ってね」
「ありがとう。よろしくね、東条くん」
東条くんと同じクラスだなんて、わたしなんてついてるんだ!
もうディスティニーじゃん!
脳内お花畑なわたしを先生が職員室から連れて行く。
「しかし、相沢は東条に遅刻の件で借り一つだな」
「本当にそうですよねー」
わたし達の後ろ姿を見送る東条くんが不敵に笑っていたなんて、誰も知らない。

