「イ、イケメン!じゃなくて、どうしてわたしの名前を?」


「相沢奈津子さん、この学校に今日から編入してくる転校生で、初日から遅刻し、問題児ではないかと考えられている。俺は生徒会長の東条隼人、以後よろしく」



それだけのことをスラスラ喋ると、東条くんはふわりと笑った。
え、すごいイケメンなんですけど!


これってあれじゃない?
少女マンガによくあるパターンの、ピンチを救ってくれたイケメンと恋におちる、的な!



「それよりさ、ここ職員室とは正反対のとこだよ」


「…え」



やってしまった!
まさかのイケメンの前でこんな方向音痴をさらすなんて!


いや、でもそういうとこも可愛いよ、的な。
うん、だって、東条くん王子さまみたいじゃん。
心も広いよ、きっと。



「方向音痴なんだね。じゃあ、職員室まで着いておいで」


「は、はいっ!」