わたしが不本意ながら、東条くんの奴隷になって一週間が経った。
あの日から、わたしは東条くんの奴隷というよりは、パシリという感じだったと思う。
飲み物買いに行かされた時、きっとみんなはわたしが一方的に東条くんにプレゼントしているとでも思っているのだろう。
東条くんは人気だから、よくお菓子とかもらってるし。
うーん、なんとも嫌なシステムだ。
東条くんによく物を渡してても、なにも不思議に思われないなんて。
わたしが東条くんの奴隷から解放されるのは、まだまだ先の話だろう。
今日も授業が終わり、教室には暖かな色の夕日が差し込んでいる。
「柚葉、一緒に帰ろ」
「ごめん!今日委員会なんだ。先帰ってて」
「あー、そうなんだ。じゃあ、先に帰るね。明日は絶対一緒に帰ろーね!」
「うん、じゃあね」
柚葉は図書委員で、月に1、2回は当番が回ってくるらしい。
面倒だと言う柚葉に何故図書委員会に入ったのかと聞くと、隼人に押し付けられた、となんとも分かりやすい返事が返ってきた。
とにかく、柚葉にフラれちゃったし、他の友達も部活みたいだし、一人寂しく帰りますか。
教室を出ようとした時、誰かに肩を掴まれた。
振り返らなくても分かる、これは東条くんだ。

