わたしは柚葉に昨日のことを全部しゃべった。
最後の部分は弱味をつかれて奴隷になった、としか言わなかった。
いや、そうとしか言えなかったんだ。
「…そうなの。大変だったね、奈津子」
「信じてくれるの?」
「もちろん。奈津子が嘘つくような子じゃないって分かってるよ。昨日一日で何が分かるって言われればそれまでだけど。でも、あたし人を見る目はあるんだから!それに、隼人の裏の顔はあたしが一番知ってるからね」
それから、柚葉は東条くんにされた、いじわるなことを色々と話してくれた。
笑いながら話す柚葉はあまりそれらのことを気にしていないようだった。
「でもね奈津子、隼人も悪いやつじゃないから許してあげてね。隼人、多分すごく奈津子のこと知りたいんだよ」
「…え?」
ふわりと微笑んで話す柚葉。
その顔はさっきの笑顔よりもとても綺麗で、人を想う時の笑顔はこんなに美しいのだとわたしは知った。