俺はいつも通り瞳さんの所に行って公園のベンチに座った時のこと。
知らないおばさんが話しかけてきた。
「風?」
なんで俺の名前を知っているのか知らなかった。
「誰。」
「夜月礼よ?覚えてる?」
とても懐かしい感じがした。
何故俺と同じ名字なんだ。
なんで、空と同じ顔なんだ。
当然俺は知るはずがなかった。
記憶にあるはずがなかった。
記憶喪失なのだから。
いや、記憶喪失だったのだから。
俺はこの人の顔を見ただけで思い出した。
お母さん。
意味が分からなかった。
「お母さん。ずっと風のこと探してたのよ?」
「…………」
「聞いてるの?」
「………んでだよっ……………」
「なんで今更俺の前に現れるんだよ!!」
「だって………」
「だってもくそもねぇだろっ!!」
「心配してたんだから………」
「どの面下げて心配したなんていってんだよっ!!
俺が………俺が今までどんだけ辛い思いしてたのかしってんのかよ!!」
「母親なんだから心配して当たり前でしょ?」
「っざけんな!!
俺は一度たりともてめぇを母親なんて思ったことねぇ!!
産まなきゃよかったって言われてからいちど
たりともっ!!」
「風………お願いだから私の話を聞いて!!」
「ふざけんじゃねぇ!!
今更てめぇの話なんて聴く気ねぇんだよ!!
なにが探してただ!!」
「お願い………だから…………」
「っ!!」
「…………ってなんだよ」
「え?」
「話ってなんだよ」