私の名前は鮎川ゆず。大人の仲間入りをしたばっかだ。これで周りを気にしなくてもお酒やタバコを楽しめる。さっそく二十歳になった記念に彼氏の尚冶(なおや)が買って来てくれた缶チューハイを開けて呑んでる。尚冶は隣で携帯を弄りながら同じ缶チューハイを呑んでいた。少しだけ携帯の画面を盗み見ると、最近流行ってるLINEの画面が開かれていた。相手は…どうやら女の子のようだ。内容は「会いたい」「触れたい」とかで。思わずため息つきそうになった。よくもまあ彼女の前でそんな会話が出来るものだ。呆れと妙な感心をした私は残りのお酒を一気に煽った。独特な、お酒の味と炭酸の刺激が喉を通った。
「おい、あんま飲みすぎんなよ。お前弱いんだから。」
苦笑が混じった尚冶の声が聞こえて、私は出来るだけ無表情で尚冶を見た。
「いいじゃん、酔ったら介抱してくれるでしょ?」
「そりゃあするけど…つかお前なんか機嫌悪くねえ?」
そう言った尚冶の顔が近付いた。あんたのせいだよ、ばーか。とは言えなくて私は無理矢理尚冶の唇を自分のに重ねた。
「…いきなりだな。」
「ねえシよう。」
自分の口から漏れた声は甘ったるくて吐き気がしたが、尚冶がこれが好きなのだ。もう一度尚冶の唇にキスすると、舌を差し込んできた。濡れた舌が粘膜を擽る。あとは、流れに身を任せるだけだった。
