三番目の扉は擦り切れた感じの扉でたてつけが悪い。

中ではガヤガヤと話し声が聞こえる。

皆さんいらっしゃるんだわ。
そうティアラは思った。

しかし不安は拭えない。
何か異変を感じるのだ。

ノックを三度する。

すぐさま返事が返ってきたが、ティアラは驚いて目をパチクリとさせた。

『入っといで!!』

中年の女性の声だった。

おずおずとティアラは扉の中へと入ると上から下まで睨みつけるような目で観察された。

女性ばかり四人が部屋にはいて中年の女性が黒いワンピースに白いエプロンをしていた。

『わたくし、、、あの、、、』

部屋を間違えたようで、、、と付け加えようとしてティアラは口をつぐんだ。

中年の女性がけたたましく話したばかりに喋れなかったのだ。

『自己紹介なんざいらんよ!仕事は山ほどあるんだ。』

そう中年女性は言うとマリー!と隣にいた女性に声をかけ洗濯を命じた。

マリーと呼ばれた女性は大量の衣服が入ったカゴを持てるだけ持ってティアラに言うのだ。

『何をしてるの?早く手伝って頂戴?』

ティアラはあまりに動揺していたために何も言わずにカゴを持てるだけ持ってしまった。

扉を開けて出て廊下でティアラはマリーと呼ばれる女性に話しかけた。

『あのっ!もしかして私、部屋を間違えたのかも知れませんわ。』

そう言うとマリーはケラケラと笑って『そういう気持ちもわかるけど。現実はこうよ。』と言うのだ。

間違いではない?
まさか。

ティアラは少しクラクラしてきた。

『なんだかひ弱そうだわ。あなた。』

マリーは怪訝そうにため息をつくと突き当たりの部屋に入った。

その部屋は水道の蛇口と石鹸が沢山あって洗濯場だとわかった。

山積みの衣服は大きなカゴが六個分あってマリーは早速石鹸を水に溶かしゴシゴシと洗い始める。

やっぱり何かの間違いなんだわ。

そうティアラは思った。