『グレゴリー様。これにお着替えくださいませ。』
そう言ったのは赤毛のメイドだった。
差し出された衣服は黒い地味なワンピースだった。間違っても貴族の令嬢が着るようなものではない。
『これを?わたくしに?』
そうティアラが違和感を覚えて聞くとメイドは答えた。『制服でございます。』と。
ティアラは不自然さを感じながらも衣服を手に取り着替えに向かった。
専用の部屋に戻れば書き置きがあり、地下の三番目の部屋に行くようにとあった。
ティアラは慣れない屋敷をウロウロとさまよいながら地下と繋がる階段を下る。
表の外観とは打って変わり打ちっぱなしの壁にカビの香りがするのだ。
眉間に皺を寄せて何度も引き返そうかと迷いながら歩いて行った。


