前章で述べた通りステファン・グレゴリーは飄々としかも紳士的に人を丸め込むのがとても上手かった。
フェニッシングスクールの話もいとも簡単に両親の理解を得て準備を始めていた。
ティアラも母親に貴方の考えは素晴らしいわ。グレゴリー家も貴方の姿勢にきっとお喜びになるわ。などと絶賛され口角を引きつらせながらも頷いている。
学校はティアラの母親の親類であるマーキング氏の運営するスクールになっていた。
あれ以来ステファンには君がさらに素敵になって帰って来るなんて舞い上がってしまいそうだよ。なーんて言葉をかけられて今更やっぱり行きません。なんて言えない。
結婚する前からすっかり手のひらで転がされている。
少しはステファン・グレゴリーという人物がおわかり頂けただろうか。


