「到着っ!」
「おい、お前、まじ朝から疲れさせんな」
「ごめーん」
全く反省の色がうかがえない凛の頬を思いきりつねる。
こんな時は好きなやつだろうと容赦しない。
「痛い痛い痛い痛い!痛いから!」
「うるせぇ」
こうやって馬鹿みたいなことやってる時は全然緊張なんてしないのに。
なんで、ふとした時に見せる顔やふいに触られた時には心臓がうるさいくらいに音を立てるんだろう。
凛ばっかり。
ここ数年はずっと凛のことばかりだ。
数年に渡る片想い。
高校生にもなって何やってんだよ、俺。
何年アイツの良い友達のフリやってんだよ。
いつまでこの良い子ちゃんを演じる?
「ねぇ、今日ってさぁ…」
少し頬を赤らめ(俺がさっきつねったからではない)うつむく凛。
いつもより短いスカートや、あきらかに校則違反のネックレス。
それもこれも、全部アイツの為。
あぁ、なんて気分が悪い。