夢をみていた。
ふわふわと幻想の中を漂っている気分。
灰色の空に灰色の街並み。
街には雨が降っていた。
冷たい、冷たい雨が降っていた。
そんな街の中に、ポツリと赤い傘をさす女の子。
最初は、幽霊かと思って少し怖かったけど、その女の子の顔を見たら、声をかけずにはいられなかった。
女の子の顔は綺麗で、でも悲しげだった。
「どうしたの?」
女の子は目を見開いて俺の方を見た。
そして、ゆっくりと口を開いた。
「 」
だんだん意識が夢から遠のいていく。
女の子は何かを話しているが、何を言っているのかわからない。
だんだん視界は灰色から真っ白に。
完全に女の子も雨も灰色の空も消えてしまった。
夢をみていた。
君と出会った、あの雨の日の夢を。