「教えて」 先生のその言葉に、私は顔を上げた。 瞬間、涙が頬を濡らす。 「何故泣くの? 何かあった? それとも――…」 先生のメガネごしの瞳が怒ってる。 「俺に言えない何かがあるのか?」 グッとさらに力を入れた手が、腕に食い込む。 痛いのに……声を出せない。 「答えて」 喉が熱くて唇が震える。 それでも、一生懸命口を開き、 「……先生が、好きです」 それを。 それだけを、伝えた。 .