「関口君、まず扉を開けたら『失礼します』と言いなさい」
先生の言葉に、“……ですよね”と、心の中で頷く。
「先生、そろそろコイツの罰掃除勘弁してやってよ」
あろう事か、関口君は私の頭をペチペチ叩きながら先生にそんなことを言った。
信じらんない……
「今週で掃除は終わりますよ」
先生は、動じることなく淡々と告げると、自分の席に着いた。
「なんだ、終わんのか」
関口君は私の頭から手をどかすとバケツを持った。
慌ててそれを止めるけど――
「姫、もう少しで下校時間だぞ?
片づけ始めないと間に合わない」
言われて時計を見たら、確かに、すでに最終下校の時間だった。
.


