少しの沈黙の後、私は小さく、
「時間かかっちゃいましたけど、今週には終わりそうです」
苦笑いで言うと、先生は緊張が取れたように、「そう。お疲れ様」と、いつもの顔に戻った。
……なんとか誤魔化せた…?
中山先生は、そのまま出口に向かい、暗くなる前に帰るように言うとそのまま教室を後にした。
―――瞬間、ホッとして息が溢れた。
中山先生は、やっぱり三上先生が好きで……私を疑ってる。
知られないように気をつけないと……
なんて。
心では分かってるのに……それでも、先生との確かな物がない私は、必死に繋ぎ止める“何か”を探してしまう。
そんなもの、先生の立場を危うくするだけなのに……
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