正直、中山先生は三上先生を好きだと思う。
だからなるべく答えたくないけど―――
「職員室に行きました」
仕事の話だとマズいから、答えてしまった。
「そう、ありがと」
事務的に礼を述べて、中山先生はドアへと向かった。
私はホッとしながら雑巾を手にしたけど。
足音は出口へ、ではなく、こちらに近付いてきた。
しゃがんでる私の目の前に、教師として有り得ない高さのピンヒールが立ち止まる。
それを見て、私はゆっくりと顔を上げた。
「あなた……まだ掃除してたの?」
威圧感丸出しの先生は私を見下ろし、腕を組んでいる。
私はどう答えていいのか考える。
.


