慌てて涙を拭った瞬間、ドアが勢い良く開いて――…
「失礼します。
三上先生いらっしゃいます?」
入ってきたのは、中山先生だった。
先生は、カツカツとヒールを鳴らしながら準備室に入ると、周りを見渡した。
そして、三上先生がいないと分かると、小さく溜息を吐いた。
「あのー」
私の声に、誰もいないと勘違いしていた先生は小さく肩を震わせた。
「あ、あなた…っ いたなら声かけなさいよ!」
「……すみません」
今声かけたのに……
先生は少し恥ずかしかったのか、早口で三上先生の居場所を尋ねてきた。
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