「だって……先生は言ってくれたもの…」 『後戻りは出来ないぞ。 泣いても慰めたりしない。 ―――覚悟しろ』 “覚悟しろ”って、そういうことでしょう…? 「覚悟……したもん」 パタパタと涙が本を濡らす。 流れ落ちる涙を拭いもしないで、先生が貼ったであろうセロテープを優しく撫でる。 そうすると、先生に触れられたような気持ちになれたから……。 そうしてやっと少し落ち着くと、すごい早さでヒールの足音が近付いてきた。 .