息が、止まる―――… そこには、いつもと雰囲気が違う、よく知った人物――… 「せ、んせ…」 私に気づくことなく通り過ぎる。 私は指先から血の気が引いていくのを感じた。 その人は、そんな私に気付かず、店の奥へ入っていく。 綺麗な女性が隣で微笑み、そっと、男性の腕に手をかけた。 男性は、その女性を見て、微笑み返す…――― その姿を、私は呆然と見つめていた。 .