下駄箱から靴を出し履き替えると、少し離れた校庭から運動部のかけ声が聞こえた。
それを聞きながら、校門へ足を進める。
ふと…本当に無意識に、二階部分にある廊下の窓を見上げた。
そこは、前に先生が私を見ていた場所で……
思い出してただ見上げただけ、だったのに―――…
そこにいないのが、寂しくて……泣きそうになった。
帰ろう……
泣き出す前に。
瞳に溜まった涙を何とか堪え、また校門へと足を進める。
―――――と。
「うわ…っ 綺麗な人」
私を追い抜かしながら、女の子が呟いた。
「………あら、あなた…」
その声に反応したのは、この前パーティーで会った人。
「ここの生徒さんだったのね」
…………笑い顔が綺麗な、先生の婚約者。
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