「失礼します」
「はい、さよなら。
気をつけて帰りなさい」
廊下に出ると、シン…と静まり返っていた。
私は廊下を端から端まで見て誰もいないことを確認すると、やっと一歩を踏み出した。
あ、電話……
気が付き携帯を開くと、メールが三件入っていた。
一つは関口君で、私の体調を心配したメール。
後二つは舞ちゃんからで、体調を心配したメールの後、私の鞄を先生が持って行ったという報告だった。
「先生が…持ってきてくれたんだ……」
さっきも養護の先生に教えて貰ったのに。
さっきとは違い、その事実に胸が痛いほど鳴り響く。
それは、甘くて酸っぱくて苦しい……
体験したことない痛みだった。
「―――せんせぃ…」
突き放して欲しい。
こんな優しさ………
私はまだ子供だから勘違いしちゃうよ……
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