「ごめんね、待ってた?」
「ちょーっとね。
……それより大丈夫…?なんか顔色悪い」
怒っていたフリだったのか、舞ちゃんが心配そうに顔を覗き込んできた。
私が「大丈夫」と口を開きかけると、隣にいた関口君が今日何度目かの、私の腕を引っ張った。
「やっぱ河合もそう思うか?
こいつすぐ無理するからな。保健室連れてくわ」
彼はあろう事か私を引きずるように教室を出て行く。
舞ちゃんは疑う事なく「お願いねー」と手を振った。
「関口君…!私大丈夫だよ?」
腕を掴む手は思いの外大きく、目の前の背中は思ったより大きくて……
彼が“男の子”なんだと気付く。
「保健室くらい自分で行けるし…!」
廊下にいる生徒の目が痛い(……主に女の子だけど)
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