「ありがと……。
本当に大丈夫だから」
それでも笑顔を作るしかできなくて。
ゆっくり自分の足で立つと、二人は何も言わず心配そうに私を見ていた。
校門に向かう私の後ろを二人は無言でついてくる。
もう何を言っても無理だと思ったんだ。きっと…。
「おはようございます」
「おはよう」
「おはようございまっす」
「はい、おはようございます」
耳の中に一枚分厚い壁ができたように、先生の声がこもって聞こえる。
それは、通り過ぎる瞬間まで続き―――
「……おはようございます」
「…………」
結局、私の小さな挨拶に返事する先生の声は聞こえなかった。
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