息も、切れ切れで。
放したら、二度と逢えないような気がして……
我慢していた涙が溢れ出し、「先生…」と何度も呼びかける。
そんな私に声をかけることなく、ただしがみつかれたままの先生。
私はやっと、言葉に出した。
「先生………
わ、私の事……好きじゃ、なくなった…?」
微動だにしない先生を見ることができなくて。
ただただ、しがみつくだけで、放すことの出来ない手が震える。
この甘い香りも、温もりも、全部欲しい。
私だけのものであって欲しい……
それでも。
先生は答えることなく、スーツには涙のシミが広がっていくだけだった。
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