「帰るぞ」 微動だにしない私の手を掴み、兄様は歩き出した。 視界の端に映る姿に、足が止まる。 ―――…それでも 「……行かせて」 走り出した私を呼ぶ兄様の声がした。 ……それでも、その声を無視し、慣れないヒールで走る。 先生のもとへ―――… パーティー会場から出てきた先生が、走り寄る私に気付き、一瞬、目を見開く。 そんな先生に、しがみつくように抱き付いた。 .