「行きます」 「ええ。 やれること全部やって、それでもダメだったら――…その時は砕け散りなさい」 今日一番の笑顔に顔がひきつる。 「……酷いです」 「傷は深い方がいいわ。 立ち直れないまで傷付いたら…… 後は、立ち上がるしかなくなる」 そう言った愛華さんは、砕け散った事があるのかもしれない……。 化粧室を出て会場に向かう廊下で、声が聞こえた。 その声は、私の勇気を打ち砕くには充分で――― 「何故あやつを連れてきた」 いつも聞く、厳しい声。 今日は出席しないと聞いていたのに…――― .