「――それなら、どうする?」
愛華さんの言葉に、彼女を見た。
「ここで泣いてる間は何も変わらないわね。
悲劇のヒロインのように、他の女に取られるのを指くわえて見てる?
そんなの、“想い出”にもならないわ」
挑発するように、顎をあげ私を見る彼女は、小さく笑った。
明らか馬鹿にした表情で。
「……先生に聞きます。
困らせるだけかもしれない。……私を、否定するかもしれない。
でも……
どうせなら、先生の口から聞きたいから」
―――もう、涙は出ない。
愛華さんはニッコリ笑うと、立ち上がった。
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