「あら、やだ。
威圧なんてしてないわよ。失礼ね」
「さくら……
御園は昔からパーティーの女王様と呼ばれてたんだ。守でさえも御園を見たら逃げる。
何かされたらすぐ言いなさい」
兄様が、わざと御園さんに聞こえる声で私に耳打ちした。
それを聞いた御園さんの顔がひきつる。
「……あら、私が苛める前に他の令嬢方の洗礼を受けるんじゃないかしら?
忍さんがエスコートしてるから余計に目立ってるわよ?」
フフッと意地悪い笑みを浮かべる御園さんに、私は何の事だか分からず兄様を見た。
兄様は、さっきまでのくだけた表情から一変、顔を強ばらせた。
「御園…」
「分かってるわ。……仕方ないわね。
木崎家に令嬢がいたなんて、皆さんご存じないでしょうし」
言って、一歩近付いた。
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