「妹なんだ」
さぁ、と目で合図を送られて、私は一歩前に出た。
「初めてお目にかかります。
木崎 さくらです。
よろしくお願いいたします」
子供の頃に教わったままの挨拶を、なるべく美しく見えるよう、指先まで気を使いお辞儀をした。
私の挨拶に、目の前の女性は少しだけ目を見開いて、忍兄様をチラリと横目で見た。
が、すぐに柔らかく笑うと、
「あなたが忍さん達が目に入れても痛くないほど溺愛してる妹さんね?
初めまして。御園 愛華です。
忍さんとは同じ高校で、卒業した今でも仲良くしていただいてます。
私にはあなたと同じ年の妹がいるの。
仲良くなれそうだわ」
私よりも背の高い、モデルのような御園さんに、私は恐々と見上げてしまった。
「御園、さくらを威圧するな」
その様子に、兄様も小さく笑った。
.


