「まだ残っていたんですか?」




扉を開けたのは、先生。


私と同様、小池さんも息を飲んだ。





「帰ります」


さっきまでの饒舌さは無く、小さく答えた小池さん。

雑巾をバケツに入れ、机に向かった。



「姫野さんも今日は掃除を終わらせて下さい」


先生の一言に、咄嗟に小池さんから先生に目を移した。



「私も今日は帰ります。
 二人とも気をつけて帰るように」



私を見る目はいつもと同じ。

私以外に向ける瞳で私を見る先生に、泣きそうになった。




「……片付けます」



バケツを持ち準備室を出ると、小池さんもついて来た。