語尾に『〜さあ』と付けるくらいだと。

それは、真彩の前で司もたまに使っていた。


『真彩、お互いの最近の写メを交換しねえ?
理亜見たい。渚の写真も送るよ』


「いいね。私も渚ちゃん見たい!」


電話を切った後、真彩は理亜を抱く自分の姿を送り、司は渚とのツーショットを送ってきた。


どこかの公園で撮られたその写真には、ピンク色のTシャツにジーパン、肩までの髪の幼い女の子が写っていた。


あどけない笑顔の可愛らしい子だ。


その少女の隣には、父親になった司が大きな身体を屈めるようにして寄り添う。


「…司、変わってない…」


真彩は思わず、呟いていた。



変わってなくは、なかった。


30歳になった司は、笑顔に柔らかさが加わり、あの頃よりもっと魅力的にみえた。


「一人で頑張ってるんだ…司、偉いね」


自然に真彩の人差し指が、
司の顔を撫でていた。


…司はきっと、近いうちに再婚相手に巡り会えるだろう。


こんな男がいつまでも一人でいることなど、あり得ない。

司の子供なら、愛情を注ぎ、可愛がって育ててくれる女性が必ず現れる……


その時、司は自分から離れていく…



そう考えた途端、真彩の胸は息苦しくなる。