とっくに出勤し、今は仕事中なのだろう。
光俊の方も、真彩の出方を見ているに違いない。


スマホから目を離した真彩は、はっとする。


ゆめかが理亜を立ったまま、抱っこしようとしていた。


「ゆめかちゃーん、理亜、重いよ〜!抱っこ無理〜下ろしてあげてえ」


きつい言い方にならないように気を付けながら、真彩は慌てて止める。


「ゆめか!帰るよ!」


ゆめかの母親が戻り、ゆめかを連れ帰ったのを機に、真彩も理亜を抱いて立ち上がった。


「理亜っち、お腹空いた?」


少し早かったけれど、授乳室に行き、おっぱいをあげた。

思い切り乳を飲んだ理亜は、満足して眠ってしまった。



平日の昼時を過ぎたフードコートは、人も少なく平和そのものだ。

昼食を摂りにここにきてから、もう1時間以上が経過していた。


愛娘の赤いほっぺの可愛い寝顔を見ていると、真彩は幸せな気分になるが、すぐに現実に戻る。


嫌でも、朝の喧嘩を思い出してしまう。