お通夜もお葬式の最中も、私はずっと泣きっぱなしだった。

美月と悠介に「眼留はおじさんに一番良くしてもらってたもんな」と言われながら、号泣。

おばさんに「眼留ちゃんにそんなに想われてあの人も幸せね」なんて言われて、更に泣いた。

どしゃ降りの雨に負けないぐらい、ずっと泣いていた。


「なんでお前が泣いてんだよ」

「…っ、だ、って」


頼人は、決して泣かなかった。

…いや、誰よりも泣いていたけど、辛すぎると涙すら出て来ないのだろうと思った。

その日の頼人は凛々しく、喪服のせいか普段とは別人に見えた。


「人間、死んだらみんな骨になる。…理屈は解ってても、頭では悲しい。…この悲しい、っていうのはどこで感じてるんだろうな」


身が千切れそうな程痛いのは、頭か心か。

頼人は、透明なビニール傘を差しながら、自分の首から下げたドクロ型のネックレスを指先に引っ掛けて私に見せた。


「親父も、今やガイコツ。生き返ってもこれじゃ誰かわかんねーよな」


この時、頼人は誰よりも泣きたかったのだと思う。

彼の代わりの涙が、私の瞳から次々に溢れ出てきた。


「変な顔」

「う、っるさい…な」

「それで拭いとけ」


ぶっきらぼうに差し出されたハンカチも、直ぐに涙と鼻水でびしょ濡れになった。