(…ちょっと、何…?この状況!)


反地球なんて有り得ない空間があるのも信じられないけど…なんで私がこんな渦中に…!嫌な汗が出てきた。

頼人と悠介が睨み会う中、従来のアホ面の頼人が口を挟む。…私が最も傷つくような言い方で。


「…へっ、眼留なんかより美月の方が可愛いし性格も良いだろ。お前ら目腐ってんじゃねぇのー?」


"美月の方が"…。

本当は一番、頼人に言われたくなかった言葉なのに。

惨めで泣きそうになってきた。…けど、私はそんなに繊細じゃないし、女々しくもない!

自分に言い聞かせて普段通りに振る舞う。


「美月が可愛いのは当たり前でしょ、なに当たり前な事言ってんの!早くくっついちゃえば!」

「は?べ、別に俺は美月が好きな訳じゃ」

「大丈夫だよ、頼人の気持ちは他言しないから」

「な…何だよその言い方。お前みたいなのがちょっとモテるからっていい気になんなよ!」


頼人は心底苛ついた様子で私を見る。

…そんなに怒んなくたっていいじゃん、アンタが美月を好きなのなんて解ってるよ。

(…頼人は、こんなに怒るほど美月が好きなんだな)

重々解ってたけど、ちょっとだけ痛い。

私の事はきっと、ずっと「幼なじみの喧嘩友達」としてしか見てくれないんだろうと実感する。