悠介の驚くべき事象から三日。

彼は昨日の朝、こっちの世界の悠介の部屋から忽然と消えていたとか、いないとか。

戸野先輩の言っていた"時空の歪み"は私逹から発せられているのかもしれない──そんな事を思い返す。


(人間の身体は電気が通っているから、何かの拍子に強烈な磁場が発生して…)


元来から、私は不思議な現象について考えるのが好きだ。

そして…何となく反地球についてもっと調べなければいけないような気がしていた。

携帯を覗き込み、検索結果を見る。"反地球"に対する事柄が沢山出てきた。


『──【反地球(はんちきゅう)とは、太陽を挟んだ地球の反対側にあると空想された架空の惑星】である。』

…と記してあった。


「…"架空の惑星"…」


架空ではなくて、確かに存在するもうひとつの地球。

…私、やっぱり"その場所"を知っている。

何故こう思うのかすらも全く解らないけど、確かに感じている。


「"チーム宇宙"なんて…ふざけて言ってたら本当になっちゃったな」


朝食の支度をしながら、ふと考える。

こうしていると…私は本当の私なのだろうか、という疑念すら抱いてくる。


(…まさか私も行ったり来たり…、…って、それはないか。私、スピリチュアル系の勘とか悪そうだしな)


食パンをかじりながら、通学の準備。

ほろ苦いマーマレードの味が何だか懐かしく感じるのは何故だろう、と思った。